SEO対策の歴史
日本でSEOという言葉が広まってきたのは、2003年くらいからでしょうか。それ以前1997年頃にも、それに似たものはありました。当時はまだGoogleが登場しておらず、日本でロボット型検索エンジンといえばNTTレゾナンスが開発したgooが最も精度が高い検索結果を出すといわれていました。サイト内のテキストを拾ってgooが順位をつけることはわかっていましたので、文章の書き換えで順位の操作を行うSEOはその頃が最も古い歴史と言えます。その後、Googleが誕生し世界を席巻するとSEOは一気に重要度を増しました。ただし、そのころの日本にはSEO専門業者も少なく最新の知識も主に米国からネットで伝わるものでした。ただ、WEB関連の仕事に携わる人々の中では独自にSEOに注目し、インハウスでSEO対策を行う先進的な人も増えてきていました。
そんな中一部の業者が圧倒的なリンク対策を施すことでめきめきと頭角を現し、上場するまでになります。それらの業者はSEOとSEMを兼ね備えたサービスで次第に業界の先導役となります。SEOの歴史に成功報酬という概念を浸透させたのもそれら業者の功績といえるでしょう。しかし、大手のSEO業者は社員数が多くなり、サービスが散漫になることでSEOの純粋な技術力を徐々に落としてきます。またそうした大手業者は元々オーソリティ力のある大手のサイトをSEOすることが多く、比較的簡単に順位を上げることができるため売上は上がるがSEOの技術はどんどん陳腐化していくというジレンマに陥りました。さらに高額過ぎるSEO対策費用は一般の企業から敬遠されるようになり、次第に力を落としていきます。
その頃、中小のSEO業者も数多く営業を始めるようになり、SEOは一気に戦国時代へと突入することとなりました。独自の技術では順位が上がらなくなった大手の業者の中には、中小の専門業者と提携して技術力を保とうとする動きもありました。
そして2010年になると歴史が大きく動きます。YAHOO!JAPANがGoogleの検索エンジンを採用するという、SEO業界最大の事件が起こったのです。これまでYAHOOに振り回されてきたSEO業者が一気にGoogleのSEO対策へとシフトしたのです。その動きに連動するかのようにGoogleがこれまでにない大きな動きでアルゴリズムの変更を行うようになりました。外部リンクを重視するGoogleが、より内部のコンテンツの善し悪しを判断するようになったのです。そうした中、2010年にブレークしたツイッターを使って積極的にSEO対策の情報を発信する業者が登場するようになりました。SEOの技術はいつか広まってしまうものなので、積極的に技術を開示した方が自分のためになるというのが彼らの基本的な考えのようです。大きな意味で、シェアする概念とでもいうのでしょうか。そんな彼らの発信する情報からSEOに関する気づきとも言えるエッセンスが注目を集めています。
SEO対策のトレンドを振り返る
ここからは当時トレンドとなったSEO対策の歴史を振り返ります。
- 1996年頃 ページ内へのキーワード盛り込みで上位表示効果があることが判明。後に上限が決められる。
- 1998年頃 metaタグへのキーワード盛り込みで上位表示効果があることが判明。後に無効化される。
- 2000年 YAHOOがGoogleのエンジンを採用。後に提携解消。
- 2004年 YAHOOが独自開発の検索エンジンYSTを採用。。YSTで順位を上げるためのSEO業者の苦闘が始まる。
- 2006年頃 YAHOOカテゴリへの有料登録がYAHOO対策として効果を発揮。
- 2010年11月 ブランド名でのリンクが効果があるとされる。キーワード分散と同じ意味とも言える。
- 2010年12月 YAHOO!JAPANがGoogleエンジンを採用。一気にGoogle対策の重要度が増す。
- 2011年 1月 共起語がブレイクする。
- 2011年 3月 アンカーテキストの分散が重要視される。
- 2011年 4月 ワンクッションリンクが効果があると話題になる。(海外ではリンクピラミッドとして以前から知られている)
- 2011年 4月 パンダアップデートが日本のGoogleにも適用されたかどうかが話題になる。パンダは低品質なWEBページをランクダウンすると言われている。
- 2011年 5月 Googleの公式ブログで高品質なサイトに関して言及される。
- 2011年 5月 Googleが直帰率をランキングに反映させているのではないかと話題になる。
- 2011年 6月 15日にGoogleで大きなアップデートがある。オーソリティサイトは無傷だが、それ以外のサイトで大きな順位変動を確認。
- 2011年 7月 外部リンクが以前ほど効かなくなっていることが話題になる。ただし、外部リンクの取り締まりが強まったり弱まったりする傾向もあり、わかりずらくなっている。コンテンツの強化がSEO業者の発言でも目立つようになる。
- 2011年11月 Googleが新たなアップデートを導入。新しいコンテンツを上位に表示するアルゴリズム。
- 2011年11月 Googleが8月頃から過剰な被リンクを受けているサイトに積極的に警告を出すようになる。11月下旬に警告を受けたサイトの多くで順位の急落が発生。同一キーワードや大量リンクのフィルターが強くなっていると思われる。
- 2012年4月 いわゆるペンギンアップデートが発動される。同一キーワードでの大量被リンク、または関連性のないサイトから被リンクを行っているサイトが標的となって徐々に順位を下げる。
- 2012年5月 不自然なリンクの警告メールはGoogleが手動で送っていることが知れ渡る。ペナルティ解除のための申請方法がネット上で話題になるが、ペナルティ解除の報告が公開された例は少ない。
- 2012年7月 パンダアップデートが日本でもはじめて適用される。低品質なサイトやページがランクダウンされる。他のサイトからのコピー、少ない文章で構成されているサイトが順位を落としている。
- 2012年7月 Googleから不自然なリンクに対するメールが一斉送信される。ただし、このメールはランクダウンを知らせるものではなく、サイトに対する不自然なリンクがあることを教えるものであり、そのリンクをおそらく無効化することを示唆していると考えられている。無実のサイトにもこのメールは送られている。